笠間でカフェをオープンする
チャレンジする人を
応援してくれる土地柄。
河又 恵太さん・みゆきさん ご夫妻
結婚を機に神奈川からの移住を検討。恵太さんの地域おこし協力隊の参加をきっかけに、20代で笠間へ移住する。もともと日本茶店に勤めていた恵太さんは、友部駅近くにカフェ「まちのベンチ」をオープン。長男 幸太くんも生まれ、家族3人の暮らしを楽しんでいる。
夢への一歩として地域おこし協力隊に。
―恵太さんは北茨城市のご出身とのことですが、同じ県内でも笠間に住もうと思ったきっかけは?
恵太さん:神奈川にある日本茶店に勤めていたのですが、いつかは独立して店を持ちたいと考えていたんです。結婚を機に移住先を探すなかで、夢につながるかもしれないと、妻が笠間の地域おこし協力隊を勧めてくれたことがきっかけでした。
みゆきさん:もともと私が地域おこしに興味があったというのもあるのですが、主人は日本茶の知識や大学時代に学んだデザインスキルなどがあるので、協力隊で活かせるのではないかと思ったんです。その先でお店を持つためのステップアップになればいいなと。保障や家賃補助などの条件面でも、笠間がしっかりしていて安心そうだなと思って勧めました。
―協力隊としてどんな活動をされていたのですか?
恵太さん:僕が担当したのは、「移住交流促進」です。移住関連のイベントのお手伝いをしたり、移住したい方の相談に乗ったりしていました。それまで笠間のことはあまり知りませんでしたが、3年間の活動のなかで市内に知り合いが増え、協力隊の活動とは別ですが、少しずつ日本茶関係の事などをイベント的にやらせていただけるように。ここなら自分のやりたいことができそうだという自信がつき、定住を決めました。
カフェの備品の多くが地元の方からの頂きもの。
―笠間でカフェといえば笠間エリアに多いイメージですが、なぜ友部でお店をオープンしたのですか?
恵太さん:お店と住居を探しているとき、地元の方が「ここは何もないから」と一番自信がなさそうだったんです(笑)。でも実際歩いてみると、JRの駅もあるし、買い物もしやすい。今はまだ目立つものがないだけで、僕らにはすごく居心地が良さそうに感じたんです。そこで、市役所の方に紹介していただいた物件を見つけてカフェに改装しました。
中心地の方が、確かに人は集まると思います。でも、僕がやりたかったのは、観光客向けというより、地元の方がふらりと立ち寄って、300円くらいで1日ゆっくりできる居場所をつくること。そういう意味でも、この落ち着いた雰囲気が気に入りました。
―実際にお店を始めてみて、いかがですか?
恵太さん:地元の方がすごくあたたかいと感じます。改装中もいろいろな方が声をかけてくださいました。笠間ならではだと思うのですが、新しいことをしている人を見かけると、皆さん「陶芸家かな?」「また若い人が頑張ってるな」と、思ってくださるみたいで(笑)。じつは店内の和箪笥、冷蔵庫、ストーブ、卓球台なども、地域の方から譲っていただいたもの。笠間の焼き物屋さんも移住してきた方が多いですし、さまざまなバックグラウンドの人が溶け込める寛容な土地だと感じます。
住んでみて思うのは、「笠間っておしゃれ!」
―みゆきさんは、笠間で暮らしてみていかがですか?
みゆきさん:地域おこし協力隊をしていたのは主人なのですが、本当は私の方がみんなに勧めたいくらい、笠間っていい!と思っています(笑)。とくに素敵だなと思うのは、精神的に豊かな暮らしをしている人が多いこと。建っているお家もテラスでお茶を楽しめるようになっているなど、デザイン性が高いものが多いですし、パン屋さんなどにいらっしゃるおばあちゃんも品があっておしゃれなんです。陶芸のイベントも年に何度もあるので、見に行くだけでも楽しいです。あまり陶芸には詳しくないのですが、何度も見ているうちに自分が好きなものがわかってくるようになりました。
東京に行く場合も1時間程なので、夫婦ふたりのときは都内のお気に入りのお店によく遊びに行っていました。子どもが生まれてからは、近くにある「笠間芸術の森公園」などでピクニックを楽しんでいます。若い人はもちろん、家族が増えてからも落ち着いて暮らせる場所だと思います。
移住の先にある「暮らし」も応援できたら。
―最後に、移住を考えている方へアドバイスはありますか?
みゆきさん:「移住」と呼べる時期は案外短いんですよね。行く前はいろいろなサポートがあって期待が膨らむのですが、引っ越してからは「暮らし」が始まるので、その後は自分で何とかするしかないんです。そこで知り合いができなかったりすると、せっかく来たのに…ということにもなりかねません。だから自分から情報を集めることが大切だと思います。
恵太さん:市の移住支援も充実していますが、実際はそれだけでは足りないことも多いです。笠間で家を探しているけどネットでなかなか見つからないという方の相談を受け、詳しい方に聞いたりして見つけるお手伝いをしました。「まちのベンチ」は、そんな移住が気になっている方や、移住後につながりがほしい方にも、行政とは違ったお手伝いができる場所なのかなと思っています。さまざまな人がゆるく集まる場所ですし、僕もおしゃべりするのが好きなので、気軽に立ち寄って声をかけていただけるとうれしいです。