行く笠間→暮らす笠間

世界を旅して
たどり着いた陶芸の街。の画像

陶芸大学校入学のために移住

世界を旅して
たどり着いた陶芸の街。

山脇 照里さん

青森県弘前市出身。イベント制作会社に勤めた後、語学留学で訪れたインドネシアで、現地の伝統技術を取り入れたジュエリーブランド studio napas.を立ち上げる。海外諸国を旅する間に出会った陶芸に興味を持ち、茨城県立笠間陶芸大学校に入学。通学のため笠間へ移り住み、技術を学ぶ日々。

自分が手がけたと言える作品をつくりたかった。

―ご自身でジュエリーをデザインされているとのことですが、もともとデザインを学ばれていたのですか?

山脇さん:じつは、きちんと学んだ経験はないんです。ジュエリーブランドstudio napas.を立ち上げたのも偶然でした。留学先のインドネシアで銀細工の職人さんと仲良くなったのですが、彼らがつくっているのは観光客向けのお土産品が中心だったんです。せっかく希少な技術があるのだから、もっと別の視点を入れてみたら面白いんじゃないかと、日本人の私の感覚で思うままにデザインをしてみたのがきっかけでした。

―ジュエリーの制作を手がけながら、なぜ新たに陶芸を学ぼうと思ったのですか?

山脇さん:インドネシアの後、一年暮らしたポルトガルで、陶芸のシェアスタジオに通う機会があったんです。見様見真似でつくってオーナーに焼いてもらっていたのですが、基礎知識がないため、自分のなかでモヤモヤが募っていって。ヨーロッパでは日本のセラミックはとても人気があるので、現地の人からは「どうして日本で学ばないの?」と言われていましたね。

以前からジュエリーブランドを持っているとはいえ、実際につくるのは職人さんですし、自分は何をしている人なのか即答できないというジレンマを抱えていました。原料も職人さんが仕入れてくるものなので、どうしても自分の目の届かない部分があって。そんな背景もあり、最初から最後まで自分が手がけたと言えるものをつくりたい、技術を身につけたいという想いで、陶芸を学んでみようと思ったんです。

サンプル01

部屋探しは市の制度やSNSをフル活用。

―全国には陶芸が有名な土地がたくさんありますが、笠間を選んだ理由は?

山脇さん:陶芸が有名な地域をいろいろと調べましたが、なかでも学ぶ場として魅力的だったのが笠間でした。茨城県立笠間陶芸大学校は、公立なので学費もリーズナブル。さまざまな学部を抱える美術大学と比べて陶芸1本で学べますし、窯場をはじめ施設がとても充実しているんです。研究所としての側面もあり、釉薬なども最先端のことが学べるため、陶芸に集中して力をつけるにはぴったりだと思いました。

―入学が決まってから、住まいはどのように探しましたか?

山脇さん:じつは笠間には受験で1度しか訪れたことがなく、あとは主にインターネットで情報を集めていました。部屋探しに利用したのは、市の移住体験施設「かさちょこHOUSE」です。1泊2,000円と格安で移住体験できるので、1週間ほど滞在して部屋を見つけました。案内をしてくれた市の担当の方もやさしくて、近くのスーパーを教えてくれるなど、丁寧に対応していただいたのが印象に残っています。またSNSを通じて、現地のデザイン会社さんと知り合うことができたのも良かったなと思っています。市の案内とは違ったローカルな情報を教えていただき、笠間で暮らすのが楽しみになりました。

サンプル01

東京まで1時間ほど。作家にはチャンスが多い。

―現在はどのような作品を手がけているのですか?

山脇さん:まだ1年目なので、今は課題に向き合いながら基礎の技術を固めているところです。どちらかというと、自分の内側から湧き上がってくるものをそのまま形にする造形作品をつくるのが好きですね。これまでも旅を通じて感じたことを文章などで表現してきましたが、それだけではもの足りない感覚がありました。陶芸は土を直接触ってつくりあげていくので、言葉にならない感情が手を伝わって形をつくっていく感覚があり面白いです。

―創作活動の場として、笠間にはどんな魅力があると思いますか?

山脇さん:作家には作品を見てもらう場所が欠かせません。その点、笠間は東京まで1時間ほどの距離なので、多くの人の目に触れるチャンスがあるのは大きいと思います。今はコロナ禍で難しいかもしれませんが、私も経験を積んでゆくゆくは都内で陶芸作品の展示をしてみたいです。

サンプル01

ジュエリーのデザインにもいい変化が表れそう。

―今後の大学生活への期待、その後の展望について教えてください。

山脇さん:まだ基礎を学んでいる立場ですが、陶芸の経験を通してジュエリーのデザインにもいい影響がでてくると思います。今後、自分の中にどんな変化が表れてくるのか楽しみです。また今は自動車免許を取るために教習所に通っているところなので、免許を取ったら大洗まで運転して趣味のサーフィンも楽しみたいですね。

卒業後は…どうしましょう(笑)。今は学生として笠間に住んでいますが、居心地がよくなって本格的に陶芸家として窯を持つ道もあると思います。また、技術を教えられるレベルになれば、これまで海外で出会って工芸を教えてくれた人たちに、今度は私が教えてあげるといった恩返しもできますよね。正直、先のことはまだ決めていませんが、陶芸を学ぶことで自分の可能性がさらに広がっていくことは間違いありません。まずは着実に目の前の課題と向き合いながら、自分のやりたいことを見つけていけたらと思います。

サンプル01

スマートフォン用ページで見る