笠間と東京の2拠点
リゾートではない、
第2の「暮らし」を求めて。
後藤 克彦さん・真由美さん ご夫妻
リサーチ会社を創業し、会長職を務めていた克彦さんの発案で、50代で笠間にセカンドハウスを購入。東京・目黒と笠間の二地域居住は、もう20年以上。笠間市を愛する人々が集う「笠間塾」を主宰するなど、多くの人に市の魅力を伝えることをライフワークとする。
賑やかな別荘地より、もっと先を見据えて。
―東京と笠間で二地域居住をされているとのことですが、なぜ笠間を選んだのですか?
克彦さん:もともと笠間には観光で訪れたことがあったくらいで、とくに深い縁があったわけではないんです。きっかけは50代に入り、人生のセカンド・ステージを楽しむための理想の場所を探そうと思ったこと。自然が豊か、趣味の芸術に触れられる、医療体制が整っているなど、自分なりに7つの条件をまとめてみたところ、笠間にたどり着いたんです。
また「笠間日動美術館」の館長夫妻と交流があり、同館が所有する「春風萬里荘」(北大路魯山人の鎌倉の旧宅を移築した古民家)にも訪れたことがありました。里山ならではの美しい風景に魅かれていたのですが、たまたま近くに空き家があることを知り、セカンドハウスを建てることになったというわけです。
―セカンドハウスというと、他にもメジャーな場所がたくさんありますよね。
克彦さん:軽井沢など別荘の多いリゾート地にもよく行っていたのですが、賑やかすぎて。
若いときはいいかもしれませんが、もっと年齢を重ねたときのことを考えれば、静かな方がいいですよね。気に入った一番の理由は、芸術・文化が息づく土地でありながら、落ち着いて暮らせる生活感があること。また、人口の割に医療施設が充実していて、総合病院が近いことも安心材料となりました。
真由美さん:主人の提案には、私もすぐにのりました。イギリスなど海外のお庭を見るのが好きだったので、当時は広いお庭でガーデニングをやってみたいと意気込んでいましたね。都内の自宅から車で1時間半ほどで行ける距離感も良かったです。
地元民ではないから「穴場」を見つけられる。
―笠間のセカンドハウスで過ごす楽しみについて教えてください。
克彦さん:わが家のある一帯は「芸術の村」と呼ばれていて、陶芸家や彫刻家、染物家、画家などのアトリエが並んでいます。笠間に来てからは芸術家の知り合いも増え、自分で作品をつくるなど、趣味を楽しむ時間が増えました。いまはもっぱら収集専門ですが。
また、現役時代はクルマであちこちまわるのを楽しみました。僕らは「根を張る」というより、ここならではの体験がしたいという想いで笠間に来ています。せっかく来たんだからと、おいしいものを探しまわるし、春には桜の名所を探しまわる。そういう意味で、地元の人より、穴場を知っているといえるかもしれません。
真由美さん:お気に入りの場所を見つけると、他の方にも紹介したくなって。よく東京から知り合いの方を招いて、おすすめのレストランでお食事をしたり、わが家にお泊りいただいたりしました。来てくださった方は皆さん「こんなにいい所だったんだ」と言ってくださるので、私たちも嬉しいんです。
もっと良さを知ってほしい。自然と応援する側に。
―克彦さんが立ち上げられた「笠間塾」とは?
克彦さん:笠間で長く過ごすほどに、他にはない魅力があって、もっと注目されていい土地だという想いが強くなっていったんです。そこで、笠間を愛する人たちが知恵を出し合い、そのブランドを高めるためのディスカッションをする場をつくろうと考えました。それが、「笠間塾」です。会社時代の元部下などを講師に招き、毎月15名ほどで話し合いを重ね、最終的にまとめた企画を市に提出させていただきました。その後、市議会議員になったメンバーもいますし、市を盛り上げる上で一役買うことができたのかなと思っています。
―住んで良さを実感しているからこそ、応援したい気持ちが強いんですね。
真由美さん:夫婦でかなりPRしてきたつもりです(笑)。知り合いの方に笠間の栗を送るのも、秋の恒例行事。いまではテレビなどで笠間が特集されていると、「笠間がでてたね」って連絡をくれるお友だちも多いです。
歩いて、遠まわりして、新しい発見を楽しむ。
―今後は、笠間での暮らしをどのように楽しみたいですか?
克彦さん:これまで通り東京と笠間の二拠点で、自分たちのペースでのんびりと過ごすつもりです。喜寿を迎えてクルマは手放してしまいましたが、そのぶん歩くことで健康づくりをしています。目標は1日1万歩。この間も水戸線に乗って結城に遊びに行ったのですが、そこにも穴場がたくさんありました。まだまだ新しい発見があるんだなと、こちらに来るのがますます楽しみになりましたね。
真由美さん:クルマがないなりに、楽しむ方法はたくさんありますね。歩くスピードだと、空の広さなども改めて感じることができますし。いまは時間に追われることもないので、二人でゆっくり、遠まわりも楽しんでいきたいですね。